2012年8月26日日曜日

セティ川洪水



セティ川洪水




ネパール中央部にあるポカラ周辺のセティ川の洪水とマディ川の氷河湖決壊洪水の調査を2012513日~23日まで11日間行ったので、Field Surveyの結果をもとに、両現象の発生原因を報告する。



セティ川洪水の55日の発生当初は泥流状態で、その後10日間、従来のいわゆるグレーシャー・ミルクの流況を取り戻すことはなかったことが、この洪水の基本的な性格を物語っている。



セティ川沿いの村々は泥質の洪水流でうずめつくされ(下写真左)、13人が死亡、50人以上が行方不明と報告された。



セティ川最上流部の崩壊地形がつくるバッドランド地形



バッドランド地形の下部には水平からやや傾いた堆積層構造(粘土質の湖成堆積物)が読み取れる灰色の地層があり、その上部には黒褐色の地層(モレーン堆積物)を認めることができる。



泥質の物質を流出させた大規模な地滑り現象はまさにバッドランド上部の黒褐色の地層部分で起こっているので、このモレーン堆積物を押し出すとともに、融水や夕方から夜間の豪雨などによって、まずは上部の黒褐色泥質部分がより多く浸食されて流出してくれば、下流のポカラ周辺で観察された泥質の洪水流を説明できる、と考えている。当初の泥質流は約10日ほど経つと、粘土質の濃い水流へ変化したことから、洪水後期には先のバッドランド地形下部の広大な粘土質の湖成堆積物がより多く流出してきたため、と解釈できる。

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